『朝日新聞 天声人語2023夏』5月2日の「統一地方選で吹いた風」というタイトルで、5年前の春に女性議員の少なさに危機感を抱いた大学教授らが初めて養成講座を開いた、という一文より始まるコラムを読みました。終わりは、組織と知名度と資金がなくても、世襲でなくても、勝負できる選挙文化に変わる時期ではないか、と結ばれていました。養成講座や政治塾に通う女性の多くは「地盤、看板、かばん」がないというのです。

その時にちょうど読んでいた本『フィンランド 幸せのメソッド 』(堀内都喜子著)は、前書きで2019年12月世界最年少の34歳でフィンランドの女性首相になったサンナ・マリンの経歴と生き方の紹介から始まりました。マリンはレインボーファミリー(子供がいる同性カップル)の出身で、経済的に豊かではなく、親戚も様々な問題を抱えている人が多かったようで、家族の中で初めての高校資格保持者になったそうです。マリンは大学に入学したころに若者の失業問題や、気候変動課題に政治家が真摯に向かい合っていないという不満を持ち始め、社会民主党の青少年部の活動に積極的に参加し、徐々に存在感を増していったそうです。そして34歳で首相になりました。

先日に、朝のニュースを何気なく見ていましたら、2024年10月1日に第102代の総理大臣に選出された石破茂首相に対して、「政治基盤が弱く、人脈がない」ことで早期解散に踏み切ったのでは?というようなコメントを聞き、これだけ長く政界にいる方にも、まだ人脈がないと言えるのか!?と衝撃を受けました。

石破首相の政界入りは1986年、当時29歳で、全国最年少の国会議員なったそうです。政界に入られてからの年数はフィンランドのマリンさんが首相になった歳より長いです。

日本の政界で認められるには、今の体制では一体何年必要なのでしょう。たまたま時期を同じく、フィンランドに34歳女性の首相について読んでいたところでしたので、今まで抱いたこともない憂鬱を覚えました。