私は次女で、3番目の子供でした。そのため、下に妹や弟ができる気持ちが全く分かりませんでした。それでも、私の姉や、他の長女さんの話を聞くと、お姉ちゃんになるには、天地が逆転するくらい大きな変化だといいます。
うちの娘がお姉ちゃんになる時に、もしかすると大変な思いをしているかもしれないと思いながら、『ちょっとだけ』瀧村有子作、鈴木永子絵の絵本を何度も読み聞かせしました。
この絵本は、主人公のなっちゃんが、弟が生まれてお姉さんになったことで感じる気持ちや、寂しさを自分で乗り越え成長していく姿と、母親の愛情とが描かれています。とても優しい愛おしい気持ちになれる本で、とても好きな絵本です。
この本を読むことで、うちの長女に寄り添いたいと思っていました。
今回、朱野帰子さんの『くらやみガールズトーク』のラスト収録『帰り道』を読み、お姉ちゃんになる時の衝撃を、改めて痛く感じることができました。
主人公の鈴音ちゃんはもうすぐ妹が生まれてくる状況です。妹が生まれてくる不安から、死んだ人が乗るバスに乗ってしまいます。
自分が自分でなくなるのが怖い人が乗るバスだそうです。怖くて悲しい気持ちを持った人が乗るバスです。鈴音ちゃんは、あるおばあちゃんと話すことで自分の気持ちと向き合い、他の人も不安も知り、家に帰りたいと強く思います。
そして鈴音ちゃんはちゃんと家に帰れますが、最後の言葉が胸に響きます。「ちょっとくらい前と変わったって、私は私だ」。
たった25ページのお話でしたが、鈴音ちゃんのの気持ちや不安や成長をギュっと感じられたお話でした。
私もこのバスにそろそろ乗るかもしれないと思います。聞いてはいましたが、40歳過ぎると何かと嬉しくない変化を感じます。もしこのバスに乗ったとしても、その時にはちゃんと気持ちと現状に向き合い、強くなって帰ってきたいと思います。

