最近、家族で『ブルーロック』というアニメを見始めました。史上最もイカれたエゴイストFWサッカー漫画と呼ばれるものです。中学1年生の長女は『ハイキュー』大好きでバレーボールを始めましたが、そのバレーボール仲間の一人が『ハイキュー』より『ブルーロック』の方が好きと言っているということで、見始めてみました。

私は好きではありません。主人公に魅力を感じないし、周りの登場人物もどの人も性格が尖りすぎていて親近感を持てません。なんだかなぁと思いながらも子ども達と見ていましたが、ここに若返りのヒントを見つけることができました!

主人公は、絶対に負けられない試合の中で、どのように自分の力を伸ばすか、どのように周りと化学変化を起こすか、どうすれば勝てるかを突き詰めて突き詰めて考えま。「今までの自分に捉われるな 変わるってのは今までの自分を壊すことからしか始まらない」と、頭から体がパズルのピースになってばらばらに空中分解して、それからまたパズルを組み直し考え方や捉え方を進化させて自分を再構築する場面がたびたび出てきました。

その表現が面白いと感じつつ、既視感があります。

それで思い出しました。大阪万博で入ったパビリオン、いのち動的平衡館で見た、まさにクライマックス「動的平衡」の説明の光の粒の動きと同じなのです。「動的平衡」というのは、自然界に存在する輪っかが自然と坂を上る現象です。…。その場ではすごく分かったつもりだったのですが、いざ改めて説明しようとするととても難しい概念です。いのち動的平衡館プロデューサー福岡伸一先生の説明をそのまま転記します。

『「動的平衡」というのは、この三十八億年の長い歴史の中で、生命進化の中で生命がずっと存続し続けた理由を説明できるコンセプトじゃないかなと私は思っています。

それは、絶え間なく自らを壊してわざと自分自身を不安定な状態にしておいて、その不安定さから新しい想像力を作り出すという作用が生命にある。エントロピー増大の法則という宇宙の大原則があって、秩序あるものは秩序がない方向にしか動かない。形あるものは形が崩れる。整理整頓しておいた部屋も机も、ちょっと油断するとすぐ散らかってしまう。それはエントロピーが増大していくからですよね。

生命現象も非常に秩序が高い状態なんですけれども、エントロピー増大の矢はどんどんどんどんそこに降り注いできて、生命現象を壊そう、壊そうとしているわけです。生命体はそれに抵抗するために、わざと自らエントロピー増大の先回りをして、自分自身を壊して、自分自身を作り変える。物質が転がって落ちていくような坂を、「動的平衡」の作用によって上り返している。そういう健気な努力が生命体にある。これが動的平衡なわけです。』(いのち動的平衡館 HPより)

自分自身を壊して、自分自身をつくり変えると、物質が転がって落ちていくような坂を上り返すことができるのです。それは、すなわち人にとっては若返りではないでしょうか。

自分を壊し再構築する。それが、車窓にうつった幽霊にお別れを言える方法の一つではないでしょうか。(6月19日「電車に映る幽霊は私でした」より)


ありがとう。ブルーロック。真剣に考えて考えて、再生できる方法を見つけます。