後悔しました。リリー・フランキーさんの『東京タワー』が読むべき良書としてあげられていたので、図書館で予約するついでに、同じくリリー・フランキーさんの『ボロボロになった人へ』をも予約し借りてきました。

こちらは『東京タワー』を発表する前の初めての小説集です。タイトルが気になり、もしかしたら現状を捉え直すキッカケになるのではないかと期待していましたが、私は不快感ばかりを募らせてしまいました。

どこかで私にとっての救いはないかと求めていたら、それは「読者による解説」という6名の文章にありました。この解説は、「読者による解説公募」原稿の中から厳選されたものだそうです。

1人目は「この『ボロボロになった人へ』で、僕の人生は大きく変わってしまった。」というのです。「一度読み終えたあと、失くしてしまったものを確かめるように、取り戻そうとするように、何度も何度も何度も読み返した。」そうです。

何度も何度も何度も読み返すなんて私にはできそうにありません。

6人目の黒田久美子さん(新聞紙アーティスト)が、私にも受け止めやすく解説してくれました。

「六つの短編小説のテーマも、風刺、セックス、NO未来といった、どこか社会を斜めから見た内容である。見たくないものを見せてくる。」「子供が何かを持って、『ほれほれ』と付き出してくる感じに似ている。こっちは、見たくないから、顔をしかめる。しかし怖いモノ見たさで見ていると、何かを発見する。そんな感じだ。」「リリー・フランキーの視線は優しい。テーマはおどろおどろしくても、生きることの根本を語る。」というのです。

納得です。私はどのテーマも見たくなかったのですね。どうして見たくないのか?

本当は、何度も何度も何度も読んでそれを考えれば、人生を変えるような発見があるのかもしれません。

でも、今回はやめておきます。

『東京タワー』を読んで、何か違うことを考えられるようになることを期待します。