20:50過ぎ。21:00過ぎには終わるかもしれないチアリーディングのお迎えに向けてせっせと自転車を濃いでいると、道の脇を太った猫らしきものが通ったのが見えました。それにしても太くないか!?と思い振り返ると、それはどうやら“たぬき”のようです。川沿いとはいえこんな住宅街でたぬき!?と思いつつ、私は目が離せません。どうしても写真に撮りたくてたぬきから目を離さないようにしながらポケットをあさり、携帯を取り出しとりあえず撮りました。私の携帯カメラは性能が良くなく、暗闇の中ではぼけぼけですが、輪郭は捉えているはずです。たぬきもしっかり顔をこちらに向けたままにしてくれました。それからも数秒見つめあい、それならばと、自転車を降りてもう少し近づいてみようと動き始めたところ、たぬきも動き始め、私を追い越して前の道を走って行ってしまいました。次女のお迎えにはこの角を左に曲がって行きます。しかし、たぬきはまっすぐ進んでいきました。私は逡巡します。このままあのたぬきと離れるのは残念すぎます。よし、ついて行こうと、決意しようとした時、チアのお迎えに向かう他のママに声をかけられ、ハッと現実に引き戻されて、私は道を左に曲がりました。
私は昔からたぬきが好きです。何がきっかけだったかはっきりとは思い出せませんが、もしかしたら『おつきさまでたよ』(寺村輝夫作、いもとようこ絵)の絵本、“おおはらぽんた”かもしれません。みんなを楽しませようと頑張るたぬきのポンタの斬新なアイデア、やさしい先生や仲良しの友達たち、優しい楽しい時間を過ごせます。
かたや、スタジオジブリが1994年に制作した『平成狸合戦ぽんぽこ』は、思い出すと哀しい悔しい気持ちになります。こんなたぬき像を見たくなかったと…。
でも、実際に対面したたぬきからは、まさに『平成狸合戦ぽんぽこ』で見たたぬきが連想されました。
どこに住んでいるのか、家族はいるのか、食べられているのか、車にひかれないか、また会えるか。
お迎えにきているママさん達にブレブレ写真を見せたら「めっちゃたぬき!!」と、盛り上がりました。

