何をきっかけに図書館で予約した本か忘れてしまいましたが、『地磁気逆転と「チバニアン」地球の磁場は、なぜ逆転するのか』菅沼悠介著を読み終えました。

今まで近づいたことのない古地磁気学・岩石磁気学のお話しでした。

何がすごいって、約46億年の地球の歴史を区分して表す世界共通の年代(時代)の基準である地質年代に、日本の地名・千葉に由来する「チバニアン」という名前がついているというのです。

恐竜のいた白亜紀・ジュラ紀などもこの地質年代の名前の1つだそうです。

そのなかまとして、世界に認められて「チバニアン」があるということ、知らなかっただなんて、関東住人でありながらなんたる不覚と思いました。

本書は、「チバニアン」誕生に向けての研究を取りまとめて申請する論文執筆責任者であった菅沼さんが、地球科学の歴史の一部も紐解いたうえで「地磁気逆転」の謎を紹介しつつ、チバニアン誕生について解説しています。

そもそも地磁気とはなんぞやというと、地球には磁場があり、だからこそ方位磁石を使うと方向を知ることができるのですね。地球内部を源として、大気圏を遠く離れた宇宙空間まで張り出し、太陽からの放射線や太陽風や銀河宇宙線などからも地球の表層を守るバリアのような役割を果たしているそうです。火星の磁場は40億年前には消失してしまったと推定されており、宇宙空間に張り出すバリアを失った火星は寒く乾燥した環境になった可能性を指摘されているようです。

もし地球に地磁気が存在しなかったら、大気もしくは水を失ってしまい、いずれにしろ今日のような地球環境は維持されなかったかもしれず、地球に生命は誕生しなかったかもしれないそうです。地磁気とは、なんて重大なテーマでしょうか。それが、地球の地磁気が逆転するだなんて、どれだけスケールの大きいことでしょうか。ただ、驚くべきことに、地球の磁場(地磁気)が180度ひっくり返るという現象が過去に何度も起きてきたのだそうです。そして、いちばん最近に起きた地磁気逆転の証拠が、チバニアン誕生の舞台となった地層、千葉セクションから見つかったのだそうっです。46億年の地球の歴史の一部が、千葉に…!!わくわくしてきます。

そういえば、砂場に磁石を置いて砂鉄がくっついてくるのが子どものことろは面白く、でも不思議でしょうがありませんでした。方位磁石もなぜ一つの方向を向くのか不思議ででしたが、その理由を調べようと思ったことはなく、不思議だと思ったことも忘れ、いつのまにかただの常識として片付けていました。地球の不思議なものに出会ったらそれを探求するという道もありましたのにね。

チバニアンは約77万年前から約13万年前までの期間をさします。ちなみに、カラブリアンはチバニアンの一つ前の地質年代です。

地球の謎を解明するために研究を続けている人々がいると思うと、私はそこにロマンを感じます。