私の父が、『小学生までに読んでおきたい文学②かなしい話』(松田哲夫編)を、 本好きの次女にくれました。かなしい話をなんで?と私は思いつつ、次女は一通り読んだようです。せっかく父がくれたので、私も読んでみました。すると難しいと感じる話がたくさん。これらを小学生が読んで何を感じるのだろう?とハテナが浮かびました。私が「天国からの脱落」を読んだ後、次女に「天国の話読んだ?」と聞いてみたところ、「ちょっと難しかった」といいながらこんな話だったねと伝えてくれました。次女は次女なりに読み終えているのをすごいなと感じていました。

『かなしい話』の巻末、解説「あるべきものがなくなるとき」を読みました。

「人はどういうときに『かなしい』と感じるのでしょうか。」との問いです。え?と思います。どうでしょうか。かなしいと感じるのはどういう時でしょうか。あまり具体的に思いつきません。次の文章を読んでみます。「まず思いつくのは、自分にとってかけがえのない人の死に直面したとき、いつもそばにいてほしい家族や恋人や友人と離ればなれになってしまうとき、などでしょう。」たしかに。

続きを読みます。「さらに言えば、自分が抱いていた夢や希望を実現することができないとわかったとき、何かを成し遂げようと積み重ねてきた努力が無に帰したとき、などにも『かなしい』気持ちになるでしょう」たしかに。イメージしながらこの文を読んでいるだけでかなしい気持ちになってきました。このかなしい話を集めた本、一度読むだけでなく、何度か味わうことができたら、その後に感じるものが違ってくるかもしれないと思いました。

父はその後『おかしな話』『こわい話』『たたかう話』『すごい話』と、そのシリーズの本を渡してくれます。どの話も、父から渡されなければ読まなかっただろうなぁと思う話ばかりです。昨年末に父に、どうしてあのシリーズの本をくれたのか聞いてみました。すると、「編者の松田さんを信頼しているから」とのことです。なるほどぉぉ。編集者で選んでくれているのかと納得。どうして信頼するようになったのかはこの時に聞けなかったのでまた次の機会に聞きましょう。

松田さんは、1947年東京生まれで、筑摩書房の書籍編集長をして「ちくま文庫」「ちくま文学の森」「ちくま日本文学全集」「ちくまプリマ―新書」を創刊した方だそうです。

他の人が選んでくれた本を読むのは、また面白いものです。