一番古い私のおいしい記憶は、タイの尾頭付きの塩焼きだったと思う。

普段全く料理をしない父が食卓の真ん中で、大きなタイのお腹の部分を私のお皿に入れ、「おいしいよ」と言ってくれたのではないかと思う。

その時の味は覚えていないけれど、おいしいと感じたこと、とても幸せだと感じたことを覚えている。

あれは何歳のことだったか。幼児だったと思われるから4歳とか5歳だったであろうか。幸せな食卓だった。